叢書 | ハヤカワ文庫 |
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出版社 | 早川書房 |
発行日 | 1976/02/29 |
装幀 | 山野辺 進 |
ストーリー展開
ある晩、鹿島は車で少女をはねてしまう。しかし、少女は外傷一つなく、ただひたすら眠り続ける。彼女の体温は異常に低く、血液の組成も人間とは異なる。この謎の少女を巡り、鹿島は次第に奇妙な事件に巻き込まれていく。
少女は伝説の吸血鬼なのか、それとも別の何者なのか。彼女をめぐる争奪戦は、やがて殺人事件へと発展し、鹿島の人生をも狂わせる。周囲の人々は、少女を守ろうとする者、対立する者、そして少女に人生を狂わされた者として描かれ、物語は複雑に絡み合う。
本作は、吸血鬼伝説の新解釈として、少女の秘密が徐々に明かされていく。それは、ただの伝説ではなく、現実に根ざした恐ろしい真実だった。少女の正体と彼女が持つ力は、人類の歴史や科学の常識を超えたものであることが示唆される。
「流氷民族」は、単なるSF小説にとどまらず、人間の存在や科学の限界についても問いかける作品である。神秘的で美しい少女の姿を通じて、読者は人間の本質や生命の神秘について考えさせられる。
テーマと考察
『流氷民族』のテーマは、ズバリ<吸血鬼>です。眠り続ける少女ー眠れる美女ーの謎は、さらに大きなSFのテーマについて導いてくれます。
科学的な観点では、少女が眠り続ける理由についての考察があります。一方、SF的な観点では、少女は吸血鬼やそれに類する存在である可能性が示されます。この二つの要素が巧みに融合され、読者に考えさせる余地を与えています。
また、本作では人間の本性が問われています。少女をめぐる争奪戦は、人間の欲望やエゴを浮き彫りにしています。登場人物たちは少女の血に秘められた秘密を求め、時に手段を選ばない行動に出ます。
作品評価と影響
『流氷民族』は、その独創的なストーリーと考察の深さから高い評価を受けています。刊行当初は『氷河民族』としていましたが、現在は本来の題名である『流氷民族』の題名で刊行されており、現在でも読み継がれている名作です。
本作は、吸血鬼伝説を現代的に再解釈した作品として、その後のホラー・ミステリー小説に大きな影響を与えました。また、科学とオカルトの融合というテーマは、SFやミステリー小説における新たな可能性を示しました。
結論
『流氷民族』は、眠り続ける謎の少女と、彼女をめぐる争奪戦を描いた衝撃作です。科学とオカルトが交錯する物語の中で、人間の欲望や本性が浮き彫りにされます。独創的なストーリーと考察の深さから高い評価を受けており、現在でも読み継がれている名作です。
文庫・再刊情報
叢書 | 角川文庫 |
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出版社 | 角川書店 |
発行日 | 1977/11/10 |
装幀 | 福田隆義 |
叢書 | ハルキ文庫→「流氷民族」に改題 |
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出版社 | 角川春樹事務所 |
発行日 | 1999/01/18 |
装幀 | 三浦 均、芦澤泰偉 |