影の艦隊2

影の艦隊2
-朝鮮海峡決戦-

「超高速駆逐艦『波風』、その衝撃」——世界初のガスタービン艦、霧の中から襲い来る。

2025年2月17日
2025年2月17日

影の艦隊2 初版書影

叢書 TOKUMA NOVELS
出版社 徳間書店
発行日 1993/04/30
装幀 草彅琢仁、矢島高光

『影の艦隊2』とは?

『影の艦隊2』は山田正紀による仮想戦記シリーズの続編であり、朝鮮戦争を背景に展開する架空戦記小説である。本作では、ソ連の支援を受けた「影の艦隊」と、アメリカの属国として新たに編成された日本の新生海軍(実質的な警察予備隊)が激突する。

この戦いの中で特に注目すべきは、影の艦隊に属する超高速駆逐艦「波風」の存在だ。史上初のガスタービン推進艦として登場する「波風」は、時速50ノットという驚異的な速度を誇り、霧の中にその姿を消すことができる。その圧倒的な性能は、強大なアメリカ海軍の戦艦ミズーリ号をも翻弄する。

しかし、この物語は単なる戦争ものではなく、戦争に翻弄される個々の登場人物たちのドラマも描かれている。特に、影の艦隊の艦長ミハイル・イワノヴッチ・ロボフや、波風の砲術長・水島吾郎、水雷長の岩動など、個性豊かなキャラクターが物語を彩る。

『影の艦隊2』の見どころ

① 超高速駆逐艦「波風」の圧倒的性能

「波風」は時速50ノットという常識外れの速度で戦場を駆ける。それに加え、ガスタービンエンジンの排熱による霧を発生させ、自艦の姿を隠す戦術を持つ。このため、敵は「波風」を目視で確認することが困難となる。

また、「波風」の戦闘能力も尋常ではない。作中では、たった一隻で米駆逐艦を撃沈し、戦艦ミズーリ号をも翻弄する。魚雷が命中する瞬間、突如としてその姿を消すなど、まるで幽霊船のような存在感を放つ。

② 国家間の思惑と「日本人同士の戦い」

『影の艦隊2』の最大のテーマの一つは、「日本人同士の戦い」だ。

  • 新生海軍(警察予備隊):アメリカの支援を受け、旧帝国海軍の残存勢力を中心に編成。
  • 影の艦隊:ソ連の支援を受けた日本群島人民共和国の艦隊。

この二つの勢力が対峙することで、戦争の裏にある政治的な駆け引きが見えてくる。新生海軍は、国内では正規軍ではなく「警察予備隊」として扱われ、影の艦隊側は「武装テロリスト」としてみなされる。しかし、それぞれに信念があり、正義がある。その葛藤が物語をより深みのあるものにしている。

③ ミステリアスな登場人物

影の艦隊側のキャラクターたちは非常に魅力的だ。

  • ミハイル・イワノヴッチ・ロボフ:沈着冷静な艦長。影の艦隊を率いる謎多き存在。
  • 水島吾郎:砲術長。かつての帝国海軍士官で、戦闘指揮の才に優れる。
  • 岩動:古参の水雷長。戦場経験豊富で、波風の魚雷戦を指揮する。
  • 加納聡子:もう一つの舞台で重要な役割を果たす女性キャラクター。彼女の動向が物語のカギを握る。

まとめ

『影の艦隊2』は、ただの仮想戦記ではなく、スリリングな戦闘描写、政治的な駆け引き、人間ドラマが絡み合う骨太な物語だ。特に「波風」の戦闘シーンや、日本人同士の戦いの葛藤は読み応えがある。仮想戦記が好きな人はもちろん、緊迫感のある軍事小説を求める人にもおすすめの一作だ。