カテゴリ分析
自他共に長編型の作家ということになっている氏ですが、いやいやどうして短編も私は大好きです。
記憶に残るものだけを並べてみても、ジャンルごった煮の「不可思議アイランド」所収のスピード感がたまらないショートショート『魚の研究』、最近のダジャレツイッターの原型『恋と幻』(ちなみに、ここ我がサイト名は連作長編「超・博物誌」の一編をこの『恋と幻』式で変換したものです)(本サイト「不安と月」のことです)、直木賞候補作「少女と武者人形」からは表題作『少女と武者人形』と日常に潜む恐怖と脱出劇『遭難』、ランボーやクトゥルフなどがすでにモチーフとしているのが見て取れる全編ハズレなしの「終末局面」、冒険小説『密漁者たち』(「剥製の島」所収)、幻想的な筆致が素晴らしい『ヨハネの剣』、マルセル・プルーストが主人公の『コルクの部屋からなぜ逃げる』(「ヨハネの剣」所収)、傑作『かまどの火』(「地球軍独立戦闘隊」所収)、愛らしくも切ない時代小説の傑作『辛うござる』、結末のアイデアにグッとくる『吉原螢珠天神』(「吉原螢珠天神」所収)、映画「ブレードランナー」にインスパイアされた(と思う)『見えない人間』(「物体 X」所収)等、きりがない。