幽霊軍団

幽霊軍団
スーパーカンサー・シリーズ III

全ての伏線が回収される瞬間、あなたは息を呑む――『幽霊軍団』

2024年12月10日
2024年12月10日

幽霊軍団 初版書影

叢書 TOKUMA NOVELS
出版社 徳間書店
発行日 1987/09/30
装幀 板橋しゅうほう、矢島高光

作品概要

『幽霊軍団』は、山田正紀の代表的なアクション小説の一つで、〈スーパーカンサー・シリーズ〉の第三弾である。本作は、主人公の背景と、彼を取り巻く謎めいた世界を描き出す、スリリングな物語展開が特徴的な作品だ。

ストーリー構造

物語は、トップ屋の県大輔を中心に展開する。大輔の人生には、孤児時代から匿名の援助者が存在していた。作品の冒頭、矢高弁護士の事務所で、大輔は自分と瓜二付きの若者と出会う。しかし、その若者は大輔の身代わりとして殺害され、大輔自身も拉致されてしまう。

この危機的状況から脱した大輔は、復讐を誓い、ルポライターのルミと共に、謎の援助者である「虎将軍」を追跡する。最終的に虎将軍と対面した大輔は、自身の出生の秘密を知ることになる。さらに、虎将軍は途方もない計画を大輔に明かす。

作品の特徴

謎解き要素

本作の最大の魅力は、主人公の出自と、彼を取り巻く謎の解明にある。大輔の超人的な能力の起源や、虎将軍の正体など、読者の好奇心を刺激する要素が随所に散りばめられている。

キャラクター描写

県大輔、ルミ、虎将軍といった主要キャラクターは、それぞれ独自の背景と動機を持ち、複雑な人間関係性が描かれている。特に大輔の内面描写は、読者の共感を誘う深みがある。

ジャンル特性

アクション小説でありながら、単なる肉体的な闘争だけでなく、心理的な葛藤や存在の謎という深層的なテーマも追求している。山田正紀特有の、SF的想像力と緻密な世界構築が随所に見られる。

批評的視点

長所

  • 緻密に練られたプロット
  • 謎解きの面白さ
  • キャラクターの深い内面描写

課題

  • 一部の設定説明に無理があると指摘されている
  • "魔術師"の役割が中途半端で、もう少し明確な位置づけが望まれる

シリーズにおける位置づけ

『幽霊軍団』は〈スーパーカンサー・シリーズ〉の第三弾であり、シリーズ全体のストーリーアークにおいて重要な転換点となっている。大輔の出生の秘密や、彼の超人的な能力の起源が明らかにされる重要な作品と言える。

結論

山田正紀の『幽霊軍団』は、SF的想像力とアクション性を兼ね備えた、独創的な物語世界を提示する作品である。読者に謎と驚きを与え続ける、刺激的な作品と評価できるだろう。

文庫・再刊情報

幽霊軍団 文庫書影

叢書 徳間文庫
出版社 徳間書店
発行日 1990/07/15
装幀 星恵美子、丸山浩信