24時間の男

24時間の男
一千億円を盗め

完璧なアリバイ、完璧な計画、完璧な脱獄。すべては24時間以内に。

2025年1月19日
2025年1月19日

24時間の男 初版書影

叢書 NON NOVEL
出版社 祥伝社
発行日 1988/07/20
装幀 石川俊、大林真理子

『24時間の男』あらすじ

 企業秘密を盗み出すプロ「情報屋」である榊周助は、ある企業から依頼を受け、日本最大のハイテク警備ビル「ゴールクリーズ・センター」に厳重に保管されている企業秘密を盗み出す計画を立てる。それは、自ら傷害事件を起こして拘置所に入り、そこから極秘裏に脱獄し、24時間以内に仕事を済ませて再び拘置所に戻るという、前代未聞の計画だった。完璧なアリバイを得て、計画通りに脱獄に成功した榊だったが、相棒が事故に遭い、計画は開始早々から狂い始める。偶然出会った女性、榊を追う刑事、そして企業秘密を狙うもう一つの影。様々な思惑が交錯する中、榊は果たして24時間以内に任務を遂行し、再び拘置所に戻ることができるのか?

最新鋭の防犯システムを誇る高層ビルから、時価1000億円とも言われる企業秘密を盗み出す。そのために、一人の男が立てた計画は、自ら罪を犯して拘置所に収監され、そこから脱獄し、24時間以内に任務を遂行して、再び拘置所に戻るという、常識では考えられない大胆不敵なものだった。計画通りに脱獄した男を待ち受けていたのは、相棒の事故、謎の女、執拗な追跡者、そしてもう一つの影。刻一刻と迫るタイムリミット、次々と襲いかかるトラブル、果たして男は24時間以内にミッションを完遂し、完璧なアリバイを手にすることができるのか?

綿密な計画、二転三転する展開、予想を裏切る結末。最初から最後まで読者を飽きさせない、ハラハラドキドキのサスペンス・エンターテインメント。

見どころ

1. “脱獄”を中心とした奇想天外なプロット

主人公の榊が脱獄して24時間以内に仕事を完遂するという基本構造は、読む者をワクワクさせる仕掛けに満ちています。拘置所の描写から脱獄のトリック、そして“ゴールクリーズ・センター”への潜入まで、計画が細かく描かれているためリアリティがあります。

2. ひねりの効いたストーリー展開

この作品が単なる泥棒小説に留まらないのは、中盤以降に舞台が大きく転換する点です。「モノ」の移送計画を追いかける中で、思いもよらないトラブルが発生することで緊張感が高まり、物語のテンポがどんどん加速します。

3. 皮肉とユーモアが光る会話劇

山田正紀の作品の特徴として挙げられるのが、登場人物たちのユーモラスなやりとり。本作でも主人公榊と偶然巻き込まれた女性との掛け合いが絶妙で、緊張感の中にも笑いを提供してくれます。

4. 大胆なアイデアとご都合主義の絶妙なバランス

物語の中ではいくつかの都合の良い展開が見受けられますが、それがかえってストーリーの面白さを引き立てています。スリルとコミカルさの絶妙なバランス感覚が、山田正紀の真骨頂と言えるでしょう。

感想

『24時間の男』は、山田正紀の持ち味が存分に詰まった小説です。「計画のすべてを読み通したい!」という読者の心理を巧みにくすぐる展開が魅力で、思わず一気読みしてしまう作品です。また、どこか皮肉めいたラストも印象的で、読み終わった後に深く考えさせられる部分も。

一方で、ハイテク警備ビルという設定を期待して読むと、中盤で舞台が大きく変わる点には驚くかもしれません。しかし、それも含めて物語全体を楽しむのがこの作品の醍醐味です。

まとめ

『24時間の男』は、一見「泥棒小説」(作者曰く、日本初のハッカー小説)というジャンルに収まりそうでありながら、その枠を超えた作品です。奇抜な計画、テンポの良い展開、ユーモアの効いた会話劇など、山田正紀の魅力が詰まった一冊。この作品を通じて、彼の世界観にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか?